歴史的にみると初めから美術という

概念があったわけではない。

人間がなにか道具を用いてつくったものを美術という枠でくくり、文化的現象の一分野としてみなすに至ったのは近代になってからのことである。

美術のもっとも古い作品が旧石器時代の洞窟絵画や石製の女神像にまでさかのぼるように、美術は人間の歴史とともにあったといえる。

しかし、旧石器時代の絵画・彫刻であれ、歴史時代に入ってからの作品であれ、つねに現代の美的視点でとらえたものが美術の対象となるのである。

造形されたものであるから美術品だとはいえないわけで、現代人の美的感覚に訴えるものこそ美術といえる。